マイケル・サンデル白熱教室@東北大 参加レポート


心をつなぐ日英通訳&英語コーチの片桐美穂子です。

 

2月22日に東北大学の川内萩ホールで開催されたマイケル・サンデル白熱教室に参加してきました。多くの方から「どうだった?」と感想を聞かれますので、ブログにまとめてみました。

 

 

授業は、参加申し込みの際に提出した応募動機に「東北の人はシャイで、自分の意見を主張しないから、この授業はきっとうまくいかないと思う亅と書いた女性の意見の紹介から始まりました。

 

 

 

そして、「今日の授業が成功するかどうかは、参加している皆さんにかかっている」とサンデル教授。事前説明でも、活発に意見を述べて欲しいとの話がありました。

 

 

「復興」がテーマのこの日の議題は大きく4つ。

 

 

①汚染土(contaminated soil) の「仮置き場」を自分の家の近くに置いて欲しいと言われたら?
A)受け入れる B)受け入れられない

 

 

②強制避難だけでなく、自主避難の人にも経済的な補償するべきか?
A)するべき B)するべきではない

 

 

③津波のような生死に関わる状況下で、民生委員は自分の命を犠牲にしてでも相手を助けるべきか。
A)助けるべき
B)自分の身を守ることが優先

 

 

④復興を進めるのに、「全員」の合意(コンセンサス)が必要か?
A)必要  B)必要ない

 

 

 

これらに対し、参加者全員がAかBか、意思表示を求められます(パンフレットの表裏が紅白になっていて、どちらかを掲げる)そして、各々の意見を持つ人が挙手し、意見を述べる。時には、サンデル教授に促され、反対意見の人に質問する場面もありました。

 

 

 

授業を聞いているうちに、何かすっきりしないモヤモヤした気持ちが込み上げてきました。その理由は大きく2つ。

 

 


1、これまでの白熱教室より、事前に準備されたシナリオに沿って進んでいる感が強かったこと。

 

 

例)実際に汚染土の受け入れを住民に依頼した自治体の区長や、被災地在住の小説家が招かれており、「今日は○○さんがいらっしゃっています」とサンデル教授に紹介され、意見を述べておられました。

 


 

後日テレビで放送されるとのことなので、これは仕方がないことなのでしょう。

 

 

 

2 、サンデル教授または、参加者同士がする質問に対する回答の論点がずれていたり、感情的だったりする場合が多々あったこと。

 

 

 

その時に思い出したのが、授業の最初のサンデル教授の言葉でした。

 

 

「いつもは仮定の議論をしています。でも今日は現実の話をします。それはとても難しいことです」

 

 

 

つまり、この日の授業は、いつものディベートや論理的な議論の場ではなく、震災を現実に経験した人達がリアルに意見を交換する場なのだということです。

 

 

 

実際、上記のゲスト以外にも、自主避難をした方、自主避難をしている人の支援をしている方、震災直後に住民の救助にあたった消防士の方などが意見を述べられていました。

 

 

 

リアルな意見交換の場では、当然、様々な感情が飛び交います。そして、客観的ないわゆる正論は、現実の前では霞んでしまう。どんなに正しい意見だったとしても、被災した方の感情を考慮しなければ受け入れられない。この日は論理的な意見と、感情論が入り混じった展開となりました。これが私が感じたモヤモヤの原因であり、そして、これがまさに東北が今、直面している現実、復興の難しさなのだと感じました。

 

 

 

4つの議題に対する参加者の意見はほぼ二分していたようですが、最後の議題について、南三陸で支援活動に従事している方が、「全員の合意(consensus)は無理でも、納得(understanding)は可能ではないか」と述べ、会場から大きな拍手が湧いていました。二者択一の選択肢から出てきた新たな意見。これがこの日のキーワードになったような気がします。

 

 

 

一般参加者の定員500人に対し、4倍の申込みがあったとのことです。もともと私はこの授業を多くの若い世代に聴いて欲しいと思っていたので、別枠で多くの東北大の学生が参加していたのはうれしいことでした。

 

 

このイベントの同時通訳はかなりのベテランの方が担当されると思っていたので、通訳としては、どんな同時通訳をされるのかとても興味がありました、ですので、同通レシーバーを切り替えて、ずっと日本語と英語の両方で授業を聴きました。

 

 

 

サンデル教授が話し始めるとすぐに入って来た同通の声を聞き、すぐに通訳のおひとりが私が憧れているSさんだと気づきました。Sさんの生同通を聞くのは初めてだったので、感動でした。

 

 

 

サンデル教授の英語はゆっくりで、英語も聞きやすく、ロジックも追いやすいと思いますが、耳に入ってくる通訳の日本語が知的で自然!そして、私が唸ったのが日英。今回は聴衆の方の発言をニュアンスも含めて正確にサンデル教授に伝えることが求められていたはずです。興奮して、かなり感情的になって発言をされた方もいたのですが、感情を込めて見事に訳されていたのはさすがでした。同時通訳の時、かなり気を付けてもマイクに入ってしまう、資料の紙をめくる音も、今回はかすかに1回入っただけでした。

 

 


 

対話型、聴衆参加型の講義、セミナーは通訳ブースからでもお客様の反応で通訳がわかりやすかったかどうか、きちんと通じていたかどうかがわかります。今回は、客席で通訳を聞いたことで、周りの方々が通訳の言葉を通して内容を理解し、考えを深めていく様子が手に取るようにわかり、通訳の大切さ、言葉の選択の大切さを再認識しました。

 

 

 

貴重な機会に感謝します。

 

 

サンデル2 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日は、BOSCHのデジタル赤外線レシーバー。

通訳の声がクリアによく聞こえました。

右側に押すだけで日本語、英語と切り替わるスイッチがついています。

私のように日本語、英語を頻繁に切り替えて聴く者には特に便利でした。


 

 

この授業は編集され、3月2日にNHKで放送されるとのことです。

 

 

 

 

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